2025年度版 債券業務④(転換社債)

証券外務員

転換社債の概要

新株予約権とは、その所有者が一定期間内に請求を行えば、発行者から株式をあらかじめ決められた価格で購入することができる権利です。転換社債型新株予約権付社債券とは、新株予約券が付いた社債券で、転換社債ともいいます。またCBと表記されることがあります。転換社債は、新株予約権と社債券を分けて譲渡することができないため、株式に転換請求した場合、債券も消滅することになります。

株価が上昇した時は、転換社債を発行者に引き渡し、株式購入に必要な金額の払い込みとすることで、社債を株式に転換することができます。

権利行使をしなければ、通常の社債と同じように一定期日に利息を受け取ることができ、償還期日に額面金額で払い戻されます。

転換社債は、従来、額面金額100円で発行されることが多かったのですが、最近では額面単価よりも高く設定されることが多くなっています。

また、転換社債は、株式に転換できる権利がついているため、利率は、普通社債よりも低くなっています。最近は、利率がゼロのものも多くなっています。

券種は1銘柄につき1種であり、ほとんどの銘柄は100万円券となっています。

転換社債の価格変動要因

通常の社債と同じように、金利が低下すれば、利回りも低下するため、転換社債の価格は上昇します。また、金利が上昇すれば、利回りも上昇するため、転換社債の価格は下落します。

クレジットスプレッドは、ある国債と残存年限の等しい社債等との利回り較差のことです。発行体の信用力が上昇すれば、クレジットスプレッドが縮小しますので、転換社債の価格は上昇します。反対にクレジットスプレッドが拡大すれば、転換社債の価格は下落します。

株価が上昇すれば、株式へ転換する可能性が高めるため、転換社債の価格は上昇します。反対に株価が下落すれば、株式への転換の可能性は低くなりますので、転換社債の価格は下落します。

ボラティリティとは、価格の値動きの変動性のことです。価格の変動性が高いと株式への転換の可能性も高まりますので、転換社債の価格は上昇しますが、価格の変動性が低いと株式への転換の可能性が低くなりますので、転換社債の価格は下落します。

発行株式数の計算

転換価額とは転換社債を株式に転換するときの1株当たりの価格をいいます。株式への転換請求を行ったときの取得株式数は、転換社債の発行価額の総額÷転換価額で計算します。

転換社債の額面総額が100万円(発行価額と同じ)、転換価額が1,000円の場合、この転換社債の全てについて株式への転換請求を行った場合の取得株式数を求めなさい。

取得株式数は、転換社債の発行価額の総額を転換価額で割って計算しますので、額面総額1,000,000円÷転換価額1,000より1,000株と計算されます。

転換社債の額面総額が100万円(発行価額と同じ)、転換価額が950円の場合、この転換社債の全てについて株式への転換請求を行った場合の取得株式数を求めなさい。

取得株式数は、転換社債の発行価額の総額を転換価額で割って計算しますが、今回の例では、額面総額1,000,000円÷転換価額950円より1,052.63株と割り切れません。

この場合、1株未満の端数部分については、現金で支払う場合と切り捨てる場合とがあります。現金で支払う場合には、1,000,000円-950円×1,052株より600円と計算します。

パリティ価格と乖離率

パリティ価格

パリティ価格とは、転換の対象となる株式の現在の株価に対する転換社債の理論的な価格を表します。パリティ価格は、株価÷転換価額×100で計算します。

転換価額が1,000円、株価が1,200円の場合のパリティ価格を求めなさい。

パリティ価格は、株価÷転換価額×100で計算されますので、株価1,200円÷転換価額1,000×100より120円と計算されます。

考え方を確認しておきましょう。転換社債は株式に転換することができますので、転換価額1,000円というのは、転換社債の額面金額100円のときの株価の金額を表します。

株価1,200円÷転換価額1,000より1.2と算定されました。このことは、今の株価は転換価額の1.2倍であることを表しています。株価1,200円は、転換価額の1.2倍であるため、現在の株価1,200円に対する転換社債の理論的な価格は、額面金額100円×1.2倍より120円となります。

乖離率

転換社債の時価とパリティ価格の間に生じる差額のことを乖離といい、その差額を率で表したものを乖離率といいます。乖離率は、転換社債の時価-パリティ価格をパリティ価格で割り、100を掛けて計算します。

転換価額が1,000円、株価が1,200円、転換社債の時価が126円の場合の乖離率を求めなさい。

最初にパリティ価格を計算しましょう。パリティ価格は、株価1,200円÷転換価額1,000円×100より120円と計算されます。

乖離率は、転換社債の時価-パリティ価格をパリティ価格で割り、100を掛けて計算しますので、126円-120円÷120円×100より5%と計算されます。

考え方を確認しておきましょう。株価が1,200円のときのパリティ価格が120円です。転換社債の時価が126円ですので、株価1,200円のときの理論価格であるパリティ価格120円に対して5%プラスに乖離していることが分かります。

転換社債の時価がパリティ価格よりも大きい場合をプラス乖離又は順乖離といい、株価と比べて転換社債が割高になっていることを表します。この場合、転換社債のまま売却した方が有利となります。

転換社債の時価がパリティ価格よりも小さい場合をマイナス乖離又は逆乖離といい、株価と比べて転換社債が割安になっていることを表します。この場合、株式に転換して売却した方が有利になります。

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