2025年度版  金融商品取引法②(行為規制等)

金融商品取引法 証券外務員

一般的義務

広告規制

金融商品取引法では、金融商品取引業の内容について広告等をする場合において、一定の表示を義務づけるとともに、利益の見込み等について著しく事実に相違する表示または著しく人を誤認させる表示をすることを禁止しています。

書面交付義務及び説明義務

金融商品取引業者等は、顧客と金融商品取引契約を締結しようとするときは、あらかじめ、顧客に対し、顧客に対し、一定の事項を記載した書面(契約締結前交付書面)を交付しなければなりません。

契約締結前交付書面の記載事項

  • 金融商品取引業者等の商号・名称・住所・登録番号
  • 金融商品取引契約の概要
  • 手数料報酬等の金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき対価に関する事項であって内閣府令で定めるもの
  • 顧客が行う金融商品取引行為で、金利、通貨の価格、金融商品市場の相場等の変動により損失が生ずるおそれがあるときは、その旨 等

契約締結前交付書面交付義務の適用除外

  • 上場有価証券の売買について、過去1年以内に包括的な書面(上場有価証券等書面)を交付している場合
  • 過去1年以内に同種の内容の金融商品取引契約について契約締結前交付書面を交付している場合
  • 顧客に対し契約締結前交付書面に記載すべき事項の全てが記載されている目論見書を交付している場合 等

また、金融商品取引業者等は、金融商品取引契約が成立したときは、遅滞なく、当該顧客に対し、契約締結時交付書面を交付しなければなりません。

これらの書面交付義務に違反した場合には、行政処分の対象になるほか、違反行為者法人が処罰の対象になります。

金融商品取引業者等と政令で定める金融商品取引契約を締結した顧客は、金融商品取引契約に係る書面を受領した日から起算して10日を経過するまでの間、書面により当該金融商品取引契約を解除することができます。

不招請勧誘の禁止等

下記の取引については、契約締結の勧誘を要請していない顧客に対し、訪問したり電話をかけて契約の勧誘をする行為は禁止されています。このことを不招請勧誘の禁止といいます。

  • 店頭金融先物取引
  • 暗号資産関連店頭デリバティブ取引
  • 個人を対象とした店頭デリバティブ取引

また、下記の取引については、顧客に対して契約締結の勧誘を行う際に、顧客に勧誘を受ける意思があるかを確認しないで勧誘する行為は禁止とされています。

  • 金利・通貨等の店頭及び市場におけるデリバティブ取引
  • 暗号資産関連の店頭及び市場デリバティブ取引
  • 個人を対象とした店頭デリバティブ取引
  • 商品関連市場デリバティブ取引

勧誘を受ける意思の確認が必要な取引については、勧誘を受けた顧客が契約を締結しない旨の意思を表示した場合には、勧誘を継続してはならないとされています。

適合性の原則の遵守義務・最良執行義務・分別管理義務

金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる行為を行って投資者の保護に欠けることのないように業務を行わなければならない。このことを適合性の原則の遵守義務といいます。

有価証券の売買の場には、金融商品取引所や私設取引システム等、様々な場があります。そのため金融商品取引業者等は、顧客から注文を受けたときは、良の取引条件で顧客の注文を処理しなければなりません。このことを金融商品取引業者等の義務を最良執行義務といいます。具体的には以下の内容が挙げられます。

  • 最良執行方針等を定める。
  • 最良執行方針等を公表する。
  • 最良執行方針等に従い有価証券等に関する注文を執行する。
  • 顧客より注文を受けようとする場合には、あらかじめ当該取引に係る最良執行方針等を記載した書面を交付する(電子交付可)。
  • 注文を執行した後に、一定の期間内に当該顧客から求められたときは、当該注文が最良執行方針等に従って執行された旨を説明した書面を、当該顧客に交付する(電子交付可)。

金融商品取引業者等は、顧客資産が適切かつ円滑に返還されるよう、顧客から預託を受けた有価証券および金銭を自己の固有財産と分別して管理しなければならない。このことを分別管理義務といいます。

損失補てん等の禁止

金融商品取引業者等は、有価証券の売買取引当について顧客に損失が生じたり、予定よりも利益が少なかった場合に、当該顧客に財産上の利益を提供するという申込みや約束を自ら行ったり、第三者におこなわせてはならないと定められています。このように損失補てん等の取引前や取引後の申込みや約束を行うことそのものが禁止行為になります。

また、金融商品取引業者等は、有価証券の売買取引等について生じた損失の全部若しくは一部を補填し、またはこれについて生じた顧客の利益に追加するため、顧客または第三者の対し、自らの財産上の利益を提供したり、第三者に提供させてはならないと定められています。このように損失補てん等の実行行為は禁止されています

顧客が、金融商品取引業者等に対して損失補てん又は利益を補足するため財産上の利益を提供させる行為を要求して約束させた場合は、当該顧客に対しても処罰の対象となります。

なお、補てんが事故に起因するものであることについて、金融商品取引業者等があらかじめ内閣総理大臣から確認を受けている場合等については、単なる事故として処理され、損失補てんには当たらないとされています。

投資勧誘・受託に関する行為規制

断定的判断の提供による勧誘の禁止

金融商品取引業者等は、絶対もうかりますなどの断定的判断の提供による勧誘を行ってはなりません。仮に断定的な判断の提供が的中したとしても、違法性はなくなりません。「絶対」「必ず」といった言葉を使わなくても断定的判断の提供となる場合があります。

断定的判断の提供により顧客が損失を被ったときは、金融商品取引業者等は、賠償責任を負うことになります。その場合の賠償額は元本欠損額であり。元本欠損額は顧客の被った損害と推定され、金融商品取引業者等の責任は無過失責任とされます。

特別の利益の提供等の禁止

金融商品取引業者等またはその役員若しくは使用人は、金融商品取引契約につき、顧客若しくはその第三者に対し、特別の利益の提供を約束し、又は提供してはならないと定められています。

ただし、社会通念上のサービスと考えられるものは、特別の利益には含まれないとされています。

虚偽の告知等の禁止

金融商品取引業者等またはその役員若しくは使用人は、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為、また、虚偽の表示又は重要な事項について誤解を生じさせるような表示をすることは禁止されています。

なお、誤解を生じさせる表示には、特に必要な表示を欠く不作為も含まれます。

虚偽の表示については、たとえ勧誘行為がなくても適用されます。また、故意・過失の有無は問いません。

大量推奨販売の禁止

特定かつ少数の銘柄について、不特定かつ多数の顧客に対して、買付け若しくは売付け等を一定の期間継続して一斉にかつ過度に勧誘する行為で、公正な価格形成を損なうおそれのある行為は禁止されています。

この場合の有価証券が、金融商品取引業者等が保有している有価証券の場合の大量推奨販売行為は、特に厳しく禁じられています

法人関係情報の提供による勧誘の禁止

金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、有価証券の売買その他の取引等につき、顧客に対して当該有価証券の発行者の法人関係情報を提供して勧誘を行ってはなりません。

業態・業務状況に係る行為規制

名義貸しの禁止

金融商品取引業者等は、自己の名義で他人に金融商品取引業を営ませることは禁じられています。

引受人の信用供与の制限

有価証券の引受人となった金融商品取引業者は、その有価証券を売却する場合において、引受人となった日から6ヶ月を経過する日までは、買い主に対して、当該有価証券の買入代金を貸し付けてはならないとされています。

引受人となることにより生じる引受リスクを安易に顧客に転嫁することを防ぐための規定です。

回転売買等の禁止

金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客の注文の内容を確認せず、頻繁に売買等を行うことは禁じられています。

市場価格歪曲に係る市場阻害行為

フロントランニングの禁止

顧客から有価証券の買付けまたは売付けの委託等を受け、その委託に係る売買等を成立させる前に自己の計算において、その有価証券と同一銘柄の売買を成立させることを目的として、当該顧客の委託等に係る価格と同一またはそれよりも有利な価格で買付けまたは売付けをする行為は禁じられています。

無断売買の禁止

金融商品取引業者等又は、その役員若しくは使用人は、あらかじめ顧客の同意を得ることなく、当該顧客の計算により有価証券等の売買等をしてはなりません。

顧客との間に、継続的な取引関係がある場合でも、顧客の意思を確認することなく売買を行うことや、あらかじめ買付けをしておいて後から顧客の承認(事後承認)を得ようとする行為は禁止されています。

役職員の地位利用

金融商品取引業者等の役職員等は、自己の職務上の地位を利用して、知り得た特別の情報に基づいて売買等を行うこと、又は専ら投機的な利益の追求を目的として売買等を行ってはなりません。

特定投資家制度

金融商品取引法では、投資家を特定投資家一般投資家の2つに分けて、行為規制について差を設けています。プロ投資家である特定投資家は、契約締結前交付書面義務などが制限されています。

一般投資家に移行できない特定投資家

  • 適格機関投資家(銀行等、金融商品取引業者、保険会社等)
  • 日本銀行 等

選択により一般投資家に移行できる特定投資家

  • 投資者保護基金
  • 外国法人
  • 上場会社
  • 資本金5億円以上と見込まれる株式会社 等

選択により特定投資家に移行できる一般投資家

  • 地方公共団体
  • 特定投資家以外の法人 等

特定投資家に移行できない一般投資家

上記に該当しないすべての個人

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